
ホテルの“売上”って、どうやって生まれているのでしょう?
レストラン?フロントの丁寧な接客?もちろんそれらも大切ですが、実はその裏側で、数字と向き合いながらホテルの「お金の流れ」を戦略的に動かしている存在がいます。
それが レヴェニューマネージャー(Revenue Manager) という仕事です。
本記事では、そんな“裏司令塔”のようなポジションにどうやって辿り着くのか?
未経験からでもなれるのか?について、実体験も交えてご紹介していきます。
レヴェニューマネージャーとは?

ひとことで言えば「ホテルの売上最大化を担うポジション」です。
ただ客室を埋めるのではなく、「いくらで、どのタイミングで、どの客層に売るか」 を常に考える、いわばホテルの戦略家とも言える存在です。
レヴェニュー職が扱う主な指標には、以下のようなものがあります。
- ADR(平均客室単価)
- OCC(稼働率)
- RevPAR(1室あたり売上)
これらの数字をもとに、「今日は値上げか?値下げか?」「キャンペーンは打つべきか?」といった判断を重ねていく。
つまり、ホテルの“値付け”を司る仕事なのです。
どんなスキルが必要?

「数字」と「分析」に強いことが求められます。
私の経験上、以下のようなスキルがとても役立ちました。
- Excel操作(関数やピボットテーブルなど)
- 予約サイト(OTA)の運用知識
- PMSやRMSなど、システムの基本理解
- マーケティング的な発想力
- 部門をまたいで連携できるコミュニケーション力
そして何よりも、「売上の変化を楽しめる」「数字を改善することにやりがいを感じる」といった性格的な相性も非常に大きな強みになります。
レヴェニューマネージャーへのキャリアパス(実体験)

私の場合は、以下のようなステップを踏んでレヴェニューのポジションに就きました。
フロント → 予約業務 → OTA担当 → レヴェニューマネージャー
最初はパソコン操作も数字も得意ではありませんでしたが、
予約業務を通じて部屋の流れや在庫管理を把握し、OTA担当で価格調整の感覚を少しずつ身につけることができました。
レヴェニュー職は“公募されないことが多く”、突然任されることも少なくありません。
つまり、ある程度の“運”も大きな要素になります。
だからこそ、今いるポジションで自分の価値を示し、日頃からチャンスを虎視眈々と狙う姿勢がとても大切だと感じています。
未経験でも目指せる?そのためにできること

「レヴェニューマネージャーになりたい!」と思っても、いきなりそのポジションに就くのは難しいこともあります。
しかし、以下のようなステップを踏むことで、着実に近づくことは可能です。
- 予約や販売管理など、数字に関わる業務に関わる
- OTA(楽天トラベルやじゃらんなど)の担当になって、売価や在庫の調整経験を積む
- Excelで簡単な分析資料を作り、上司やチームに提案してみる
- RMS(Revenue Management System)の導入されているホテルを選ぶ
- 「数字に強い人」という印象を周囲に植えつけておく
そしてもうひとつのポイントは、自分から“レヴェニュー”という仕事に関心があることを公言し、名乗ることです。
正式な役職がついていなくても、興味や意欲を持ち、積極的に学ぶ姿勢を見せることで、周囲の信頼や期待が高まり、自然と道が拓けていくことも多くあります。
民泊や副業にも活かせる“レヴェニュー思考”

私がこのポジションを経験して強く感じたのは、「この考え方は民泊や個人運営の宿でも活きる」ということです。
- 曜日やイベント、競合などを見て価格を変える感覚
- どの予約チャネルで売るかを戦略的に選ぶ力
- 稼働状況を見ながら臨機応変に調整する判断力
こうしたスキルは、自分自身が物件を運営するときに“収益を最大化する武器”になります。
将来的に民泊や小さな宿を始めたいと考えている方には、レヴェニュー思考はまさに最強の資産になるのではないでしょうか。
まとめ:数字を制する者が、ホテルを制す
レヴェニューマネージャーは目立つポジションではありませんが、
その役割はホテルの収益を支える「戦略の要」とも言える存在です。
未経験からでも、今のポジションで“数字を動かす感覚”を少しずつ育てていけば、
レヴェニューの世界へ足を踏み入れることは決して不可能ではありません。
そしてその経験は、将来自分のビジネスを立ち上げる際にも、必ず大きな力になってくれるはずです。