今、心のどこかで「もう限界かもしれない」と感じている方へ。
働くことが苦しい、という感覚に気付かないほど、すり減ってしまっているかもしれません。
本記事では、ブラック企業で働いていた私が退職を決断し、ホテル業界に転職して初めて感じた“普通の毎日”の尊さについてお話しします。
「まだ辞められない」と感じている方にとって、少しでも気づきのきっかけになれば幸いです。
気づけば、心が削られていた日々

当時の私は、朝6時に出社し、深夜2時に帰るという生活を続けていました。
月に2度しか休みがなく、職場では罵声や人格否定の言葉が日常的に飛び交っていました。
食事の味も、趣味の楽しさも感じられず、ただ「働く」ことだけに自分を押し込めていたのです。
今思えば、すでに心はボロボロだったのだと思います。
ある夜、突然涙が止まらなくなりました。
疲れやストレスというより、“感情が何もないまま泣いている”ような感覚。
それが、自分の限界のサインでした。
転機は、信じられないほど冷たい現実でした

6年目を迎えたある日。
職場で唯一心を許せる存在だった同期が、業務中の事故で亡くなりました。
しかし会社は、その数十分後には何事もなかったかのように業務を再開。
「社員は家族」と掲げていた会社が、その言葉とはまるで逆の対応をした瞬間でした。
この出来事をきっかけに、私はようやく「ここにいたら、心だけでなく命までも削られる」と確信したのです。
辞めることへの恐怖は、確かにあった

とはいえ、退職することは簡単ではありませんでした。
「こんな自分を、他の会社が雇ってくれるはずがない」
「今より悪くなるかもしれない」という恐怖心は、常に心の中にありました。
それでも、「このままでは本当に壊れてしまう」という危機感のほうが勝り、私は退職を決断しました。
そんな私を受け入れてくれたのが、たまたま求人を出していた地方のホテル。
まさに、崖っぷちで拾ってくれた場所でした。
“普通の毎日”が、どれだけ尊いかを知った

現在、私はそのホテルで働き始めて8年目になります。
勤務時間は安定し、プライベートの時間も確保できるようになりました。
健康診断の数値も改善し、仕事終わりに趣味を楽しむ時間まである――
これまでの自分には、想像もできなかった日常です。
特に驚いたのは、「仕事が終わってから、何かができる」ということ。
スーパーが開いている時間に帰れる。
趣味のイベントに参加できる。
夕食をゆっくり味わえる。
それらはすべて、“命をすり減らすだけの労働”から脱したからこそ手に入れられたものでした。
過去の自分に、今ならこう伝えたい
あのとき、辞めるのは怖かった。
でも、勇気を出して一歩踏み出したことで、ようやく「人間らしく生きる」日々が始まりました。
「死なないためではなく、生きるために働いていいんだよ」
働くことは、人生を犠牲にする理由にはなりません。
本来、“生きる力”を与えてくれるものであるはずです。
心を削らない働き方を選ぶために

もし今、読んでいるあなたが「もしかしたら自分も…」と感じたなら、
まずは一度、立ち止まって自分自身の心と向き合ってみてください。
転職は勇気のいる決断ですが、「普通の毎日」が手に入るなら、それは決して“逃げ”ではありません。
むしろ、自分を守るための立派な一歩です。
あなたにもきっと、心が削られない日々が待っています。